Jerrio's Cafe

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「9.11」と「3.11」

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2011年9月11日。
今日は二つの大きな出来事を思う日だ。

一つは10年前の9.11。世界を震撼させ、21世紀最初の年を暗雲の中へと導いた事件。あのアメリカでの同時多発テロの発生した日から、もう10年...そんなにもなるのだ。

僕はその頃、公私共に大きな転換時期にあり、毎日重苦しい日々を送っていたのだが、たまたまその日は何か事情があって早々に退社し、夜の9時前には家に到着していた。僕にとって当時テレビは、最新ニュースを見るためのツールでしかなく、その日はめったに見ない9時のNHKニュースを見るため、テレビのスイッチを入れた。

9時ピッタリに始まったニュースは、いつもと様子が違った。モクモクと一筋の煙がビルから立ち上る不安定な映像が映し出されている。ライブ映像だ。しばらく何事かと思って見入っていたが、放送しているアナウンサーも事情をよく飲み込めていない様子で、ニューヨークの貿易センタービルに旅客機が衝突したらしい、という事のみを伝えていた。そして、しばらく見ていたその目の前で、2機目が突っ込んだのである。その瞬間、これはただ事ではないと悟った。世界が「意思ある衝突」であることを認識した瞬間だ。とんでもない事態が今進行している、ということが嫌でも判り、その晩は、ずっとテレビの前から離れることができなかった。

あれは世界の大きな転換点だった。そして、それはいまだ進行中でもある。それがどこまで大きな意味を持つのかは、さらにもっと先の時代において、歴史の中で評価されていくのだろう。

翌年の春先にヨーロッパから米国へと巡る出張があったのだが、このときの出張は本当に大変だった。ヒースローやフランクフルトも審査やチェックで大いに手間取ったのだが、米国内はさらにひどかった。確か、ヒースローからワシントンへ渡って、その後国内線に乗り継いだのだが、乗り継ぎ時間を4時間近くとっていたにも関わらず、入国審査のところで全く間に合わず、出発の直前に申告して、何とか走って乗り継げた。さらには、いざ搭乗のタイミングになって、ちょっとこちらへ、と手招きされ、裏に連れて行かれ靴を脱げ、上着を脱げ、と念入りに調べられた。(調べられているのは、アジア、東洋系の人達ばかりだった。)あの不快ではあるが、諦念にも似た感覚を、今でも複雑な心境で思い出す。


そしてもう一つは、ちょうど半年前の3.11。東日本大震災である。この日付の符合も不思議で、こうやって思い起こすべき日が同日になるというのは、単に偶然であるとは思い難い何かを感じる。

その日も、たまたまリアルタイムで映像を見ていた。その週は前半が様々なイベントと重なっていて忙しかったが、金曜日は久々に少し緩んだ日で、午後、日頃できていなかった機材セッティングを行っていた。最終的な映像セッティングをやっている間、NHKの国会中継を映していたのだが、そこに緊急地震速報が流れた。同僚と、「本物の緊急地震速報って初めて聞いたよね」と言い合っていると、国会内が徐々に揺れ始める。これは大きいぞ、と思った直後、実際に床がゆらゆらと来た。しかも長い。ゆっくりと大きな揺れだ。震源は東北。これは大変な地震だ。そこからしばらくは映像に釘付けで、上空からの津波の息を呑むような映像もリアルタイムで目に入ってきた。

3.11は、間違いなく21世紀の日本の転換点になる日だ。これもいまだ進行中だが、一方で2万人にものぼる犠牲者に報いるためにも、元気な日本をいかに早く取り戻していくのか、より良い日本につなげていくのか、この世界中が縮みつつある今、その教訓を無にせず、新しい日本を想い、考え取り組むべきフェーズなのだと思う。


どちらの場合も、その後しばらくは音楽を聴く気になれなかった。リアルな現実の前で、音楽は無力なのか?そんなことも思った。でも、しばらくして音楽は戻ってきた。そして、力になった。やはり音楽は素晴らしいと思った。

今日紹介のアルバムも、音楽のもたらす力を感じさせてくれるもの。米国unseenレーベルから発売されたコンピレーションアルバム 「FOR NIHON 日本のために」だ。ジャンルはアンビエント、エレクトロニカ、ポストクラシカル。それらのシーンの名だたるミュージシャン38組が参加したチャリティー・コンピレーションアルバムである。

For Nihon
For Nihon / V.A.


その少し前からその傾向はあったのだが、特に震災後、聴くことのできる音楽が限られる中で、CDショップで頻繁に訪れるようになったコーナーがここだ。心象や情景を印象的に音楽に反映させるイメージに心が開いた。しばらくは、そういう音楽ばかり聴いていた。

このアルバムは米国ポートランド在住のアンビエント/エレクトロニカ・ミュージシャンでHeliosやGoldmund名義で活動するKeith Kenniffと、シューゲイザー・ユニット MintJulepで共に活動している奥さんのHollieの2人がチャリティーコンピレーションのプロジェクトとして立ち上げ、作成されたものである。

彼らは、東日本大震災を知った直後から、自分たちにできることを話し合い、友人たちに声をかけ始めた。その協力者の輪は瞬く間に拡がり、38組もの参加となった。売り上げで得た利益はニューヨークに設立されたNPOジャパン・ソサエティーのJapan Earthquake Relief Fundに100%寄付されるという。日本からも、坂本龍一をはじめ、aus、Ametsub、Cokiyu、Sawako、Little Phrase、Ex-Confusionが参加している。

それらのミュージシャンがそれぞれ日本を思い、自らの心に拡がる印象を音楽に転写している。時に感傷的なメロディーが響き、透明感あふれるサウンドが満ちる。包み込まれるような音響世界が広がる曲もあれば、ミニマルな音の流れが心地よさを誘う曲もある。

    Link:  "This Time Tomorrow"/ Hollie & Keith Kenniff
    Link:  "Wind and Distance" / Colin Kenniff (featuring Hollie Kenniff)
    Link:  “This Too” / Near The Parenthesis
    Link:  “Daylight” / Aus
    Link:  "kizuna"/Ryuichi Sakamoto  

かなり早い段階から、デジタル配信で販売されていたが、今回2枚組みのアルバムとして輸入販売が始まり、早速手に入れ、はまった。今は通勤の車の中で流しているのだが、サウンドとともに世界を一変させてくれる力を持ち、その短い運転の時間、ストレスを吸収してくれる。

とにかく、この「日本のために」という一つの想いの下で作られたアルバムは、美しく透明で心地よい。そして僕たちはそれを購入し、その先のミュージシャンの想いを受け止め共感する。これもまた支援の形なのだと思う。

まだまだ、これで終わるわけではない。むしろここから新たに始まることもある。それはこの先ずっと続くのだ。僕たちは僕たちにできる無理のない形で、ずっと心をかけていたい。そんなことを思わせてくれる音楽だった。



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