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Jerrio's Cafe ~ for music lovers

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ゆく夏を惜しめない

Posted by Jerrio on   2 comments   0 trackback

ゆく夏を惜しむ。そんな表現が妙に懐かしい。今や、ゆく夏を喜んで見送ることはあっても、惜しむことなど、ほとんどなくなってしまった。夏によく行った海にも、今は全く行かなくなった。この夏帰った四国でも、一度も海に近寄らなかった。唯一海の表情を垣間見たのは、大阪に戻る途中、瀬戸大橋にあるサービスエリアからだった。そんな海を見ても、心躍ることは無い。大好きだった夏のさわやかさや鮮やかさの記憶は、最近の不快なほどの夏の表情に、かき消されてしまったのだろうか。

20170910-1

若い頃は、お盆も過ぎて9月の足音が聞こえはじめると、それまで遠くに見えていた「ゆく夏」の背中が、急に近くに迫ったような気がして、少し寂しく感じたものだ。


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Declaration of Dependence(2009) / Kings Of Convenience

泳ぎ疲れて、そろそろ引き上げようかと上がった後の冷えた体。背中に当たる日差しに、もう真夏の鋭さはない。かすめる汐風にも、心なしか初秋の気配を感じたりする。肌寒さを感じる前にシャツを引っ掛け、もう夏も終わるんだなと実感しながら、海の向こうにかすむ島々を見つめる。ゆったりとした時間が流れる中で、友人のつま弾くギターの音が心地よく響く...

キングス・オブ・コンビニエンスの2009年のアルバム 『Declaration of Dependence』のジャケットは、そういうシチュエーションを想わせる。もちろんバックに流れ始めるのは、アルバムの冒頭を飾る「24-25」だ。

   Link: 24-25 / Kings Of Convenience

キングス・オブ・コンビニエンスはノルウェー出身のアーランド・オイエ(Erlend Øye)とアイリック・ボー(Eirik Glambek Bøe)によるデュオグループで、二人の奏でるアコースティック・ギターのフレーズと力の抜けたコーラスの気持ちよさに、僕は一時つかまってしまった。静かに浸透する麻薬のような音楽は、ずっと聴き続けていたいという衝動を連れてくる。

その気持ちよさの背景にはっきりあるのは、フレーズの反復性だ。冒頭から提示される2小節や4小節のギターを中心とした伴奏フレーズが、少しずつ形を変えながら繰り返される。そこにサイモン&ガーファンクルを彷彿とさせるコーラスが乗ったり、ビオラやピアノなど、ちょっとしたアコースティック楽器が花を添えたりする。

  Link:  Me in You / Kings Of Convenience

一定の振幅を決して逸脱しないミニマルな音の流れにのせられた、囁くような歌声が醸し出す繊細な感覚は、ボサノヴァに通じるところもある。もちろんノルウェー出身のグループということで、北欧特有の抜けた感覚も持ちながら、ノルウェー語ではなく全編英語で歌われるその音楽の反復性には、ダンスミュージックやエレクトロニカに通じるような今風の音楽的ベースも感じるのだ。

  Link:  Boat Behind / Kings Of Convenience


その音楽から様々な感慨を受け取って、たった一枚でファンになってしまった僕だが、そこからさかのぼり、2004年のアルバム 『Riot on An Empty Street』 、2001年のアルバム 『Quiet is the New Loud』 も入手し、繰り返し聴いた。そして、その内容は決して期待を裏切らなかった。

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Riot on an Empty Street(2004) / Kings Of Convenience

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Quiet Is the New Loud(2001) / Kings Of Convenience


完全な形のオリジナル・フルアルバムはこの3枚だけだが、もうずいぶん新作が出ていない。解散したという話も聞かないが、この二人はそれぞれ個別のサイドグループやソロで新作を発表しているようだ。それがどういう方向性なのかはわからないが、今度ぜひ入手して聴いてみようと思っている。その音楽は、「ゆく夏を惜しめない」僕に、また「ゆく夏を惜しむ」気分を味わわせてくれるのだろうか...身勝手な期待だけが膨らむ。



 ★ アルバム写真は、Amazonサイトにリンクしています


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Comment

Nao says... "私も今の夏は、、、"
ブログ拝見致しました。
キング・オブ・コンビニエンス、知らなかったので初めて聴いてみました。
「24-25」面白いタイトルですね、どういう意味なのかな。
ライブの雰囲気が素敵で、生で聴いてみたいな、って思いました。

私も最近の暑過ぎる夏は、ほんとにダメで、冬の方が好きになってしまうかも、、。
晩夏という言葉も味わえなくなってしまいましたね。
紹介をありがとうございました。

ところで、ブログとは余り関係ないのですが、夏の星空って感じの私が今ハマって弾いている曲、もしよろしかったら。
村上春樹の小説「国境の南、太陽の西」のテーマとも言える曲です。
♪Duke Ellington 『Star-crossed Lovers』 
https://youtu.be/YXJZyFB5YBw
2017.09.14 10:06 | URL | #6h6pioqE [edit]
Jerrio says... "Re: 私も今の夏は、、、"
Naoさん、コメントありがとうございます。

いいでしょう?スタジオ録音のCDを聴くと、このライブがいかに完成度が高いかわかります。あまり期待しないで購入したアルバムですが、これほどいいとは思いませんでした。一聴すれば、何でもないアコースティックデュオに聞こえるのですが、聴けば聴くほど。。。の「するめ盤」です。
でもよくよく聴けば、ただのフォークデュオ、なんて言葉で括れるグループでないこともわかります。なかなか底知れない何かがあります。

「Star-crossed Lovers」も、独特の良さがありますね。「国境の南、太陽の西」ですか。なつかしいなあ。内容は忘れたけど、なんだか村上春樹にあまり似合わない、ちょっと恋愛小説っぽい雰囲気があった気がしますが。。。違うかな。

そうそう、24-25ですが、恐らく年齢のことなのかと。ちなみにこの時点でこの二人は30代半ばです。
2017.09.14 22:23 | URL | #- [edit]

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